02. 北海道までの旅 その二。

 

 

 

 旅の朝はいつも(正確に言うと92.7%の確率で)、気持ちがいい。特に初日の夜を過ごしたその翌朝は、格別だ。これから始まる旅の日々のことを考えると、

「俺は自由だー!」

 と大声で叫びたくなる気分である。

 

 もっとも、実際にそんな叫び声を上げていたら、ふーすけに怒られるし、もし誰かが聞いたら警察に通報されるかもしれないのでやめておく。

 

 

  朝食を食い、荷物を片付け、テントを乾かしてからたたみ、バイクにパッキングをする。もちろん「用」も済ませておく。分かりやすく言えば、野具祖である。当然ふーすけもそれは名人の域に達しており、誰にも見つからず、形跡を残さず、密かに事を終わらせている。

 

 まっすぐに北上して、日本海に出た。およそ十ヶ月ぶりの海だろうか。長野県には海がないからね。

 

 海沿いをバイクで走るのは、とても気持ちがいい。特にそれが旅の最中ならば、

「うみー! うーみ! おおーい、うーみー!」

 と叫びたくなる気分だ。いや、今度は実際に叫んでいたかもしれない。

 

 

 たまに海岸で遊んだり、砂浜で昼寝をしながら進んでいく。今回はできるだけ寄り道せずに、最短時間と距離で北海道に行こうと思っているのだが、ただ走り続けるというのは僕にはできない。

 

 それでもこの日はなんと289.35kmも走ってしまった。普通のツーリングライダーからしてみれば、「今日は走らない日だったな」ということになるだろうが、僕たちにとっては「とても走った日」である。良い旅をしようと思ったら、一日百キロ以上走ってはならない。というのが僕の考えだ。もちろんそれは旅全体での平均としての話で。

 

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