01. 北海道までの旅 その一。

 

 

 

 

 北海道に行くのはこれで十一度目だ。一度だけ冬のキャンプをしに行ったが、あとは全部夏とか、夏から秋までの旅だ。今回の出発は六月十五日。一応、今までの北海道への旅では、一番早い時期の出発となる。

 

 近所の人たちには、僕たちが何ヶ月も旅で遊んでくるとは知られたくないので、荷物やバイクは事前にふーすけの実家に預けてある。いかにも仕事で長期出張するかのように装って、僕たちは車で家を出てきた。 

 

 ふーすけの母の家で、僕の自慢のバイク、KLX650に旅道具を積む。ふーすけはバイクの免許など持っていないので、二人分のキャンプ道具である。

 

 

 

 

 母と、母が孫のように可愛がっている仔猫に見送られて旅立ち。もう母も僕たちの旅には慣れっこで、心配するなんてこともない。それどころか、

「スッ転んで来ればいいだヮ」

 と言って暖かく見送ってくれる。泣けてくるではないか。


 

 

 

 出発が遅かったので、しばらくすると買出しをしていい時間になっていた。僕たちは旅の間もけっこうまともな食事をしているので、たいてい毎日夕方ごろにはスーパーに寄るのだ。 

 

 ふーすけは、旅先のスーパーで買い物をするこの時間が一番好きなようだ。旅自体に興味があるのかは分からない。バイクのタンデムシートではいつも寝ているし、きれいな景色を見ても、

「きれいね」

 とか言ったことがない。 

 

 

 

 買出しから少し走ったところで、テントが張れそうな河原を発見。まだ出発地の長野県さえ脱出できていないのに、僕たちはテントを張ることに決めた。と言うか、もう夕方である。 

 

 背の高い草にはさまれた、河原までの砂利道を降りていく。視界が開けると、そこはテント地にはもってこいの場所だった。旅の出だしはいい感じである。

 

 ちなみにこの日の夕食は

カルビ焼き

野菜炒めスープ

きゅうり

 そして日本酒。