七月に入った。草の川原での朝は三日目。三日いると愛着もひとしおだ。
今日もまた素晴らしく晴れているので、また昨日のダートを走ることにした。すっかりこの一帯の雰囲気が気に入ってしまっている。
昨日は走らなかった道などにも進んでいく。日本離れした広大な風景が、冒険心をくすぐってくれる。
阿寒富士にまっすぐ登っていくように伸びているダートを見つけ、進んでいく。溶岩の塊がゴロゴロと落ちていて、なかなか難しい。二人乗りで登っていくのは大変だったので、途中でふーすけを置いていくことにした。
だが歩いて登るふーすけに追い越された。
悔しいので引き返す。
また二人乗りで走り始めると、エゾシカのペアが道を横切っていった。ふーすけが素早く話しかけるが、鹿はそのまま無視して森の中へ。
さらに走り回っていると、ちょっとモトクロスのコースのようになった砂の道を発見した。再びふーすけを置いて、喜んで走っていくと、タイヤが砂に取られてコケてしまった。しかも突き指。
ふーすけが待っている素敵な池まで戻り、その水で手を冷やす。
池の水の効力か、腫れはすぐに引いた。だが無理をしないために、テントまで戻ることにする。
それでも今日はダートを100kmも走っていた。走ろうと思っても、なかなか走れる距離ではない。何しろこんなにダートが続く道がほとんどないのだから。
まだ昼だったので、テントを撤収して移動することに決めた。愛着ひとしおとなった場所から離れるのは、ちょっと寂しいことだ。けれど、これが旅だよ、おっかさん。
隣の弟子屈(てしかが)町へ。隣町とは言っても、北海道はけっこう距離がある。
まず、風呂に行くことにした。するとそこで、知り合いのキャンパーにそっくりなライダーを見かけた。あまりに似ているので、危うく声をかけそうになったほどだ。
風呂から出た後は、キャンプ場へ。弟子屈900草原牧場というところの中に、無料のキャンプ場があるのだ。
ところが行ってみると閉鎖されていた。ここは見晴らしもいいし、運が良ければサイロの中に泊まることもできるので、僕の好きなキャンプ場のひとつだったのだ。
勝手に牧場の中に張るわけにも行かず、仕方がないのでテント地を求めて走ることにした。釧路川に沿って、できるだけ車が通らなそうな道を走っていく。
さあ、果たして今日のテント地は、ちゃんと見つかるのかな?
そんなふうに思いながら走るときが、けっこう好きだったりするのである。