11. 道東へ。

 

 

 

 富良野を離れ、道東へ行くことにした。道東、つまり、北海道の東のほう。

 今まで十度も北海道を旅しているが、まだまだ行ったことがない場所はたくさんある。今回の旅では、できるだけ自分の知らない場所をめぐってみようと思い立ったのだ。

 

 走り出してけっこうすぐの、南富良野の幾寅という駅に寄ってみた。映画「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台ロケセットが残っているのだ。ちょっと懐かしい、昔の町並みの一角と言った感じ。

 

 ふーすけの一人芝居を見物してからまた走り出す。

 

 再び狩勝峠を越え、士幌町のほうへ。少し北に行くと、ナイタイ高原牧場という観光スポットがある。行ったことがないので、寄り道をしてみることにした。

 

 途中で道がダート(未舗装路)に変わる。長い直線。KLXのスロットルを、ガンと開ける。

 さすがは650ccのオフロードバイクだけあって、フルパッキングの二人乗りでも、すさまじいトルクで加速していく。後ろのふーすけが吹き飛ばされそうになっているのもかまわず、さらにスロットルを開ける。百キロを超えるのに、ものの数秒。

 

 

 こういう道があるから北海道は素晴らしいのだ。日本で百キロ出せるダートなど、北海道以外ではほとんどないと言っていい。北海道にはたくさんある。

 

 走っていくと、道端に馬がいた。しかも群れで。これもまた北海道らしい光景だと言える。

 

 結局、後になってしまえば、ナイタイ高原牧場自体の印象は大したものがない。「素晴らしい広大な展望」というのがうたい文句であるが、僕は写真も撮らなかった。絵日記にも描いていない。

 

 

 

 

 

 

 東へ向かう旅に戻る。足寄を抜けて、阿寒湖方面へ。道がいいので、どんどん走れる。大型のオフロードバイクは、舗装路も楽である。旅には最高の乗り物ではないかと僕は思う。もっとも、自分のバイクが最高だと思ってこそ、真のバイク乗りである。

 

 

 

 

 

 

 阿寒湖畔のキャンプ場は有料なので、林道に入っていく。林道沿いにはたいていテントが張れる場所があるものだ。もちろんヒグマには気をつけなければならない。

 

 林道本線から川を渡ったところに、いい空き地があった。草の川原。とてもいい場所が、今日のテント地になった。

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