05. 北海道までの旅 その五。

 

 弘前市に近い林道の脇が、昨夕からのテント地。少し広くなっている場所が、砂防ダムみたいなところの真ん前しかなかったから、もし大雨が降ったらどうなるのだろうと少し不安だったが、何とか生きて朝を迎えることができた。

 東に向かい続け、八甲田に行く。

 


 空が今日も青い。この東北の梅雨手前の季節は、実に爽快だ。山の緑も輝くように美しい。

 それにしても、路肩駐車の車が異様に多い。みんな山菜採りの人々である。

「青森県民が全員、来てるんじゃないの?」

 ふーすけが感動している。ふーすけは山の景色などよりも、こういうことのほうがずっと面白いらしい。

 

 八甲田山を左手に見ながら、ぐるりと反時計回りに走ってみる。途中、いくつかの池や沼を見物する。どれも綺麗な眺め。

 



 

 

 やがて山の北側へ。四分の三周ほどしたわけだ。ゲートが開いている砂利道があったので、そっちに進む。

 広大な光景の中、見渡す限り、人が全然いない。僕はこういう状況が大好きだ。自然を感じる風景の中で、他人は邪魔な存在でしかない。

 

 草原には、黄色い花が一面に咲いているところもあった。バイクを止めて、写真を撮る。

 

 さらに誰もいない草原を走っていく。道は草の道になり、優しい風が体を包み込む。ヘルメットを脱いで、ゆっくりとバイクを走らせる。最高の気分。僕はこういうひと時を求めて旅をしているんだ。

 

 

 

 八甲田から離れたあとは、走ることに専念した。下北半島を突っ走る。斧のような形の半島の、柄の部分だ。ときどき右手に眺める太平洋の深いブルーが、遠くまで来たという気持ちを引き起こしてくれる。

 

 だが特別に良い景色もなかったので、八甲田でのんびりした分を取り返すことができた。とは言っても先端までは行けず、まだ柄の部分の、左京沼という寂しい沼のほとりにテントを張ることにした。ちょっと公園のようになってはいるが、誰も来そうにもない。

 

 

 

 

 

 夕食の後、ふーすけが何か生意気なことを言って頭にきたので、僕は一人で散歩に出た。森の木々の奥に見える空が燃えていて、不思議な光景を作り出していた。

 小走りで森を抜け、視界の開けるところまで。やや暗くなった西の空には、染まった雲のグラデーションが広がっていた。

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