日本一周

 1992年5月から、翌93年11月までの一年半を掛けた、日本一周の旅。
正確には一周と言うよりも、日本全域を回る旅だった。バイクでの走行距離はおよそ5万キロ。
北(東)日本は、二周している。北海道においてはもう、「周」などという表現では収まらないほどの

範囲を旅した。もちろんバイクで移動するだけでなく、それ以上の時間を歩くことに使っている。

 

 この日本一周は、僕の中で「最大の旅」であると同時に、「人生最大の遊び」でもあった。
なんせ一年以上も旅を続けていると、旅が人生そのものになる。旅をしているというよりも、
人生の日々を生きているという意識になってしまうのだ。そして自分の好きなように遊べる日々は、
途轍もなく面白かった。「生きる」ただそれだけのことをしていくのが、めまいを起こすほどに楽しかった。

 

 もちろんそれは、日本が美しい国であるからだ。ここで言う国とは、国土のことである。
海も、山も、原野も、川も、湖沼も、里山も、日本の国土は想像以上に美しく、そして広大だった。
そこを自由に旅していけることを、素直に幸せだと感じられた。