14. 爆走ダート100km!

 

 

 

 七月に入った。草の川原での朝は三日目。三日いると愛着もひとしおだ。

 

 今日もまた素晴らしく晴れているので、また昨日のダートを走ることにした。すっかりこの一帯の雰囲気が気に入ってしまっている。

 

 昨日は走らなかった道などにも進んでいく。日本離れした広大な風景が、冒険心をくすぐってくれる。

 

 阿寒富士にまっすぐ登っていくように伸びているダートを見つけ、進んでいく。溶岩の塊がゴロゴロと落ちていて、なかなか難しい。二人乗りで登っていくのは大変だったので、途中でふーすけを置いていくことにした。

 

 だが歩いて登るふーすけに追い越された。

 悔しいので引き返す。

 

 

 

 

 また二人乗りで走り始めると、エゾシカのペアが道を横切っていった。ふーすけが素早く話しかけるが、鹿はそのまま無視して森の中へ。

 

 さらに走り回っていると、ちょっとモトクロスのコースのようになった砂の道を発見した。再びふーすけを置いて、喜んで走っていくと、タイヤが砂に取られてコケてしまった。しかも突き指。

 ふーすけが待っている素敵な池まで戻り、その水で手を冷やす。

 


 

 

 

 池の水の効力か、腫れはすぐに引いた。だが無理をしないために、テントまで戻ることにする。

 

 それでも今日はダートを100kmも走っていた。走ろうと思っても、なかなか走れる距離ではない。何しろこんなにダートが続く道がほとんどないのだから。

 

 まだ昼だったので、テントを撤収して移動することに決めた。愛着ひとしおとなった場所から離れるのは、ちょっと寂しいことだ。けれど、これが旅だよ、おっかさん。

 

 隣の弟子屈(てしかが)町へ。隣町とは言っても、北海道はけっこう距離がある。

 まず、風呂に行くことにした。するとそこで、知り合いのキャンパーにそっくりなライダーを見かけた。あまりに似ているので、危うく声をかけそうになったほどだ。

 

 

 

 風呂から出た後は、キャンプ場へ。弟子屈900草原牧場というところの中に、無料のキャンプ場があるのだ。

 

 ところが行ってみると閉鎖されていた。ここは見晴らしもいいし、運が良ければサイロの中に泊まることもできるので、僕の好きなキャンプ場のひとつだったのだ。

 

 

 

 勝手に牧場の中に張るわけにも行かず、仕方がないのでテント地を求めて走ることにした。釧路川に沿って、できるだけ車が通らなそうな道を走っていく。

 

 さあ、果たして今日のテント地は、ちゃんと見つかるのかな?

 

 そんなふうに思いながら走るときが、けっこう好きだったりするのである。

前へ < もくじ > 次へ