北欧・中部ヨーロッパ 2008

 2008年5月28日から8月29日までの三ヶ月間、二度目のヨーロッパ徒歩野宿旅。

二度目ということで勝手は分かっており、途惑うことはなかったが、北欧の物価の高さには本当に驚いた。
旅の夜にアルコールはほぼ欠かせないものだが、あまりに高くて買うことすらできなかったくらいだ。

 

 もっとも行った時期、北極圏は白夜であり、一日中太陽が沈まない。夜の時間帯でも夕暮れ時以上の

明るさが続くため、一日が終わっていく感覚が曖昧だった。もちろんテントを張って夕食をすませれば、

それがその日の終わりをなんとなく意味していたが、ドラマティックな白夜の風景に、何度テントを出て
自分の周りに圧倒的スケールで広がる世界を眺めたか分からない。

 

 この旅は、僕のこれまでの旅で、最も数多く綺麗な光景を見ることのできた旅だと思う。
北欧の北極圏の景色もそうだし、真夏の雪で白銀の世界に変わったマッターホルン周辺など、
世界が何か意思を持って僕に美しい瞬間を見せているのではないかと思えることが頻繁にあった。

 

 一方で残念なのは、撮影した写真データを保存する機械が壊れ、旅の途中の千枚ほどが取り出せなくなったことだ。

オランダからドイツ、スイス、フランス、イタリアと列車で移動して、アオスタ山中までのおよそ十日間分である。    

 

 今回は本当に物がよく壊れた旅でもあった。上記のフォトストレージを始め、カメラ、テントのポール、エアマット。
ポールの修理くらいはなんでもないが、エアマットの内部破裂は直しようがなかったし、ハイテクな製品ほど壊れやすく、

壊れたら自分ではどうしようもできない。デジタル関係は常に神経質に取り扱わなければならないのが、おそらく将来的にも

続く悩みの種だ。いっそカメラなど持たない旅ができたら、どれほど素晴らしいだろうと想像するのもまれではない。    

 

 それでも「さあ、次の旅はどんな対策をもってしようか」と考えるのは、楽しいことでもある。

自分だけの創意工夫をして旅立てば、自分だけの素晴らしい旅が始まっていくのだから。