旅の道具 靴

紹介アイテム  ガルモント リベロ
        ガルモント タワーライト
        キャラバン C1-02
        キャラバン グランドキング GK68-02M

                                   ※下に紹介する製品ほど新しいものです。



 

 ガルモント リベロ

 

 イタリアの靴ブランド、ガルモントのトレッキングシューズ。定価42000円のものを年式落ちの四割引で購入。
主にヨーロッパ三ヵ月の旅に二度、合計六ヵ月使用。

 

 前面は縫い目のない2.5mm厚ヌバックの袋状ベロア。ゴアテックスブーティ採用で、高い防水性。
ローラーベアリング仕様のシューレーシング。ADDシステム*1採用。片足標準重量約910g。

 

 初めて履いたときの印象は、とにかくものすごくソールが硬かった。通常、トレッキングシューズといえども
前足底の部分で屈曲するものだが、それがほとんど曲がらなかった。もっとも、使用しているうちに適度に
柔らかくなったが、それでも通常のトレッキングシューズよりもかなり硬い。アスファルトを歩くとカツカツする感じ。
 だがガルモントのソールでは中程度の硬さらしい。ヒールも高く、慣れないうちは岩場などで不安定に感じてしまうが、
慣れた後にはとても頼もしい靴に変わった。

 

 ガルモントの思想により、通常のトレッキングシューズよりも指側の幅にゆとりがあり、履き始めのころは少々の
違和感があったが、これも慣れてしまえばかえって履き心地がよい。靴を履いていても足指の運動は重要である。

 

 六ヵ月間の登山を含むバックパッキングの旅に使ったが、不具合は全く出なかった。爪先部のラバーランドが
わずかに剥離しただけで、縫い糸のほつれや擦り切れさえ起こらず、靴紐は切れる気配さえなかった。
これは今まで履いてきたトレッキングシューズでは考えられない耐久性だ。もちろん、値段も二倍ほど高いのだが、
別次元の性能を感じさせる靴である。逆に言えば、靴は二万円程度のものでは「安物」なのだろう。

 

 ゴアテックスは初期性能は優秀だが、耐久性に劣る素材なので僕はあまり好きではないが、旅の最中でも
手入れをして使っていたため、防水性はずっと保たれている。水の中を歩いたり、朝露の草の道を歩いても全く
内部が濡れてこない。これは革の靴だからできることで、ナイロンのトレッキングシューズでは望めないだろう。
つまり、ゴアテックスだけに頼らない防水ができるということだ。

 

 特徴ある前後分離型のソールは格好良いが、岩場などで不注意に中間部のプラスチック部分で尖った岩に
乗ってしまうと、滑って怖い。そういうクレームがあったのか、次期モデルからは小さなソールが中間部の左右に
ついた、四分割ソールに変わった(モデル名も『リベンジ』に変更)。が、現在この系統のモデルはラインナップにない。

 

 また、トレッキングシューズとしては当然だが、靴底の張替えが可能。
最初のヨーロッパの旅から帰った後に張り替えたが、靴底を張り替えてまで使い続けようと思った靴はこれが初めてだ。
ただし二度目の旅から帰った後、買い換えを決意した。

 

 丸紐は平紐よりも耐久性があるが、ほどけやすい。一度固結びをしたあとに、二重巻きの蝶結びをすればよい。
また、靴紐のフックへの掛け方は、下から上でなく、上から下に掛けてクロスさせるようにしたほうがしっかりと
縛り上げられるし緩みにくいので推奨する。    

         

   *1 解剖学の視点から、履きやすさと歩きやすさを追求したフットウエアデザイン。爪先ゆとり設計、屈曲シューレースポジション、
       非対称くるぶしサポートパッド、ベロ部分の立体変形パッドといった工夫がなされている。

 

 



 

 ガルモント タワーライト

 

 上記のとおり、イタリアの靴ブランドだが、購入後に原産国が中国であることが判明。

「ガルモントよ、おまえもか」と言った感じである。22680円で購入。
 写真では分からないが、縫い糸の処理など、一見して品質が良くないことが分かる。

ただし履き心地は今までに履いた登山靴では最高に良く、さすがガルモントだと言う以上に、靴業界の技術向上を感じた。

 2010年北海道四ヵ月の旅に使用。基本的にバイクの旅なので、徒歩旅ほどシビアに靴を選定しなかったが、

旅の途中で後悔した。渓流沿いを歩いて濡らした後、靴全体が一センチほども縮んで、恐ろしく窮屈な靴になってしまったのだ。

靴紐を緩めに縛って調整したが、爪先の高さまで低くなったので、根本的な解決にはならず。

 靴内部全体を覆うゴアテックスブーティーだが、その防水効果は想像通りにすぐになくなってしまい、防水性のない靴と大差が

なくなった。こうなると防水スプレーをいくら吹きかけても、防水ワックスを塗りこんでも無駄である。

やはり靴は二万円程度では安物で、化学繊維素材を使っているものに防水性を期待するのは間違っているのだ。


 防水性を重視するなら、革製でなくてはならない。そしてはっきり言ってゴアテックスには防水能力を期待しないことだ。

大して登山をしなかった割には靴紐も切れたし、縫い糸も擦り切れたので、耐久性は低いと言わざるをえない。

ソールの減りも早かった。


 旅を終えた後は、もっと安物の靴を使っている旅仲間がほしがっていたので送ったが、彼は喜んで使っている。

縮んだサイズも彼にはジャストらしい。片足重量が650グラムほどで軽いし、履き心地はいいので、濡れなければ快適だ。

     

 


 

    キャラバン C1-02

 

 「キャラバンシューズ」という一大ブランドを築き上げた国内ブランドの靴である。

とは言っても、長年僕は全く履く気がなかった。
 どうしても初心者向けの安価な登山靴だというイメージが拭えなかったからだ。

まあ長旅に使うわけではないし、日常のツーリングで使う分にはいいだろうと思う気持ちで、近所の登山用具店で

13000円のものを2000円引きで購入。

 

 そんな「超」安物の靴だが、意外に気に入ってしまった。まだ登山には使っていないが、濡らしたりしても縮まないし、

履き心地も悪くない。国内10日間ほどのバイク旅ならば使ってもいいと思えるくらいだ。

 ゴアテックス採用だが、当然のように防水性能は低い。そこだけ割り切れば、値段を考慮して「良い買い物」だろう。

旅の途中でも気軽に買い換えられる値段だ。

 

 ただ、僕はこのカラーが気に入って買ったのだが、新しいラインナップではカラーパターンが大きく変わり、

魅力あるカラーのものがない。あくまで個人の好みの問題だが。

 

 ソールが軟らかいので、重い荷物を背負っての長時間歩行には不向きだが、軽いトレッキングやバイクツーリングには

おすすめの靴だ。

 

    



 

 キャラバン グランドキング GK68‐02M

 

 上の製品と同じメーカー、キャラバンの靴だが、少し上級者向けのラインである「グランドキング」シリーズの一つ。
近年のキャラバン社はなかなか良いカラーリングとデザインの靴を作っているようだ。定価19950円を17000円で購入。
 重量約730グラム(26.0センチ片足)。ワイズ3E。1.6mmスエード/ナイロン。

 

 当初の履き心地で気になったのが履き口の硬さ。歩いていると足首が痛くなってくる。履き口だけに関しては下級ラインの
キャラバンシリーズのほうがよほど良いと感じたが、靴紐を緩めに縛ることで痛みの問題はなくなった。
緩めに縛っても履き心地が甘くなることはなく、とても快適な靴に感じるようになった。

 

 2013年アイスランド三ヵ月間の徒歩旅で使用。

ソールは柔らかめなので、アスファルトを数時間歩いても靴擦れが起こらず、 登山のような歩行でも大きな不足を感じることが

なかった。登山専用ならばもっと硬いソールが良いが、テントを担いだバックパッキング旅行などには最適な靴だと思える。

バイクツーリングにも良いだろう。

 

 ゴアテックスのライニングだが、防水性は低い。これは上でも書いているが、ナイロンを素材にしている靴には
高い防水性を期待してはならない。もちろん初期の防水性はゴアテックスが効果を発揮しているが、しばらく使うと
劣化して意味のないものになる。防水ワックスを使っても、大して効果はない。


 これより7000円ほど高いGK69‐02Mなら総皮製なので防水性が確保できるが、カラーが好みではない理由で却下。
新聞紙を丸めて突っ込んでおけば、一晩でほぼ乾く。

 

 靴底の減り方はやや早い感じだ。三ヵ月間、大した距離歩かなかったのに、拇指球あたりのトレッドはほぼなくなった。
登山を頻繁にした2005年や2008年のヨーロッパのような歩き方をすれば、二ヵ月もたないかもしれない。
靴本体もくたびれた感じになったので、ソールの張替えはせずに、新しく買いなおした。


 値段を考えれば大変優れた製品であり、同じ靴を買うなど滅多にない僕が、続けて買うほどに気に入った靴である。

 

     



    靴の選び方 結論。

 

   1.大原則。足の形は個人差があるので、必ず実際に履いて、自分の足に合ったものを買うこと。
   2.耐久性、防水性を望むなら、革製のもの。
   3.靴に掛ける金をケチらない。四万円前後出すと、良いものが買える。長期的視野で見れば得である。
     一方で、安い靴をどんどん買い換えていく方法もある。     
   4.たとえオートバイの旅でも、ライディングブーツのみで行かないこと。多くのライダーが、あまりにも
     靴に対して無頓着で、北海道など歩いて楽しむ場所で後悔しているのをよく見かけた。